10月に入り、筆記試験からおよそ2か月半が過ぎました。合格発表は11月上旬です。日本技術士会は、まだ具体的な日付を公表していません。
この時期、多くの方が「結果が出てから考えよう」と口頭試験の準備を止めています。不合格かもしれないのに口頭対策に時間を使うのはもったいない、という感覚は自然なものです。
ただ、口頭試験は12月上旬から翌年1月中旬にかけて行われます。発表を待ってから動き出すと、準備に使える時間は早い方で1か月ほどしか残りません。
答えは「全力で口頭対策を始める」でも「何もせず待つ」でもありません。合否に関係なく無駄にならない準備だけを選んで進める。この記事では、10月にやるべき3つの準備と、やらなくていいことを整理します。
発表後の1か月は、思った以上に短い
まず、11月上旬の発表のあとに何が起きるかを具体的に置いてみます。
発表のあと、口頭試験の日程が受験者ごとに通知されます。試験地は東京都のみですから、地方在住の方は移動と宿泊の手配が必要です。会社によっては、試験日の休暇の調整も要ります。
そして12月は、多くの技術者にとって年末の業務の山場です。発表後の1か月は、本業を抱えたまま、準備と手配を同時に進める期間になります。
その中で初めて業務経歴を振り返り始めると、想定質問を作り、声に出して試し、弱点を直す、というサイクルを1回回すのがやっとです。
一方で10月は、まだ自分のペースで時間を使えます。落ち着いて口頭試験の土台を作れるのは、実質的にこの10月が最後だと考えてください。
基準は「合否に関係なく無駄にならない」こと
とはいえ、合否が分からない段階で口頭対策に全力を注ぐ必要はありません。手応えによって動き方を変える考え方は手応え別に変える、合格発表までの過ごし方で整理しました。この記事では、どのタイプの方にも共通する「選び方の基準」を示します。
基準はシンプルです。合格なら口頭試験の材料になり、不合格なら来年の受験申込書や論文の材料になる。 この両方を満たす準備だけを10月にやります。
口頭試験で問われることから逆算する
口頭試験は20分(状況により10分程度の延長あり)です。試問事項は「技術士としての実務能力」と「技術士としての取組姿勢」の2つに分かれます。
実務能力では、マネジメント・評価、コミュニケーション・リーダーシップが、あなたの業務経歴を題材に問われます。取組姿勢では、技術者倫理と継続研さんが問われます。
どれも、あなたの業務の事実から答えを作るものです。そして業務の事実を整理する作業は、来年もう一度受験することになっても、受験申込書を書くときにそのまま使えます。 だから10月にやる価値があるのです。
10月にやっておきたい3つの準備
用意するのは、受験申込書の控えと、再現答案と、スマートフォンだけです。1つずつ、週末に1〜2時間ずつ進めれば10月中に終わる分量に絞りました。
① 業務の説明を「2分版」と「深掘り版」にして声に出す
口頭試験の質問は、あなたの業務経歴を題材に組み立てられます。業務の説明が長くなったり、要点がぼやけたりすると、試験官は何を確かめればよいかを絞れず、質問が思わぬ方向に広がります。
まず、受験申込書に書いた業務を2分で話せる説明にまとめます。次に、その業務について「なぜその方式を選んだのか」「関係者とどう調整したのか」と聞かれたときの深掘り版を用意します。
ポイントは、スマートフォンで録音して聞き返すことです。頭の中で整理できたつもりでも、声に出すと前置きが長い、結論が最後まで出てこない、といった癖が必ず見つかります。
この作業は、不合格だった場合も無駄になりません。来年の受験申込書で業務を書き直すとき、声に出して整理した説明がそのまま骨格になります。
② 再現答案に「なぜそう書いたか」を書き込む
口頭試験では、筆記試験の答案を踏まえた質問を受けることがあります。そのとき「なぜその課題を最も重要と考えたのか」と聞かれて、本番の自分の判断を説明できるかどうかが問われます。
再現答案の余白に、各段落でなぜそう書いたのかを1行ずつ書き込んでください。 本番の答案を書き直すのではなく、判断の根拠を残す作業です。
合格していれば、この書き込みがそのまま想定質問の材料になります。不合格だった場合は、根拠が書けなかった段落こそが、来年の論文で直すべき箇所です。再現答案から想定質問を作る具体的な手順は再現論文は作った後が本番で解説しています。
③ 技術者倫理と継続研さんの「自分の実例」を1つずつ探す
取組姿勢の質問は、知識を問うだけではありません。「業務の中で倫理的な判断を迫られた場面はありますか」「技術士になったら、どのように研さんを続けますか」のように、あなた自身の行動が問われます。
技術士法の3義務2責務(信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、公益確保の責務、名称表示の場合の義務、資質向上の責務)を条文として覚えるだけでは、この種の質問には答えられません。
そこで、自分の業務の中から、安全や品質のために立ち止まった場面を1つ、最近の1年で新しく学んで業務に生かしたことを1つ、それぞれ書き出しておきます。合否に関係なく、技術者としての自分を棚卸しする作業です。
PMEの口頭試験 合格パッケージは、筆記試験の合格発表の前からお申し込みいただけます。発表後に筆記試験が不合格だった場合は、お支払い済みの代金を返金します。定員は10名、お申し込みは2026年11月30日までです。他社の講座を受講中の方のセカンドオピニオンとしてのご利用も歓迎しています。
10月にやらなくていいこと
やることと同じくらい、やらないことを決めておくのが大切です。
想定問答集の回答を丸暗記するのは、まだ早い段階です。 合格が分かっていない今、時間をかけて暗記しても、不合格なら何も残りません。そもそも丸暗記の回答は、角度を変えた質問で崩れます。その理由は“回答丸暗記”は不合格の元で詳しく触れています。
発表日についての不確かな情報に振り回されないことも大切です。 公式に示されているのは「11月上旬」までです。日付の予想を追うより、その日までに上の3つを終えておく方が、ずっと確実な準備になります。
そして、宿泊や移動の手配は日程の通知が来てからで構いません。10月の時間は、手配ではなく中身の準備に使ってください。
まとめ
合格発表前の10月にやる口頭試験対策を整理します。
- 業務の説明を2分版と深掘り版にして声に出す——来年の受験申込書の骨格にもなる
- 再現答案に「なぜそう書いたか」を書き込む——合格なら想定質問、不合格なら敗因分析に使える
- 技術者倫理と継続研さんの自分の実例を探す——取組姿勢の質問に、自分の言葉で答えられるようにする
いずれも、合否に関係なく無駄になりません。口頭試験に向けた全体の流れは口頭試験対策の全体ガイドで時系列にまとめています。
まずは今週末、スマートフォンの録音ボタンを押して、自分の業務を2分で話してみるところから始めてみてください。
本番の前に、一度「聞かれておく」
自分の業務を自分で説明すると、当たり前になっている判断ほど素通りしてしまいます。本番の試験官は、あなたの業務を初めて知る人です。同じ条件で一度質問を受けておくと、どこで言葉が止まるかが先に分かります。
PMEでは、まず1回試したい方に向けて単発の模擬面接もご用意しています。30分の無料オリエンテーションで、今の準備状況をお聞かせいただくこともできます。

