合格率が10%程度といわれる難関の筆記試験を突破された時点で、あなたはすでに技術士としてふさわしいだけの高度な技術力と知識をお持ちです。まずは、そこまで到達したご自身に自信を持ってください。
しかし、口頭試験の日が近づくにつれて、 「もし想定外の質問が来たらどうしよう」 「緊張して頭が真っ白になったらどうなるのか」 「ここまで来て落ちたくない」 と、筆記試験の時とはまた違った種類の不安が押し寄せている方も多いのではないでしょうか。
今回は、私自身の受験経験と、これまで多くのエンジニアを指導・添削してきた実績から、「口頭試験直前にやるべきこと」を詳細に整理しました。
これは単なる試験対策テクニックではありません。 「プロの技術士として、どう振る舞い、どうリスクを管理すべきか」という最終確認です。
直前期の過ごし方一つで、当日のパフォーマンスは大きく変わります。ぜひ最後まで目を通し、万全の状態で当日を迎えてください。
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1. 学習面:新しいことは「やらない」勇気を持つ
直前になると、不安から新しい技術用語を覚えたり、読んでいなかった白書の詳細を詰め込みたくなるものです。しかし、あえて申し上げます。
それは今、絶対にやってはいけないことです。
直前期に新しい知識を詰め込もうとすると、「あれも知らない、これも知らない」という欠乏感に襲われ、自信を喪失する原因になります。これはメンタル面での最大のリスクです。
口頭試験の台本は、全てあなたが提出した「実務経験証明書(受験申込書)」の中にあります。ここを深掘りすることだけに集中してください。
願書を「コンピテンシー」で読み解く
今やるべきは、ご自身の経歴を**「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」**の言葉で翻訳し直す作業です。
口頭試験は「苦労話」や「自慢話」を聞く場ではありません。「あなたが技術士としてどう判断し、どう振る舞ったか」を確認する場です。
以下の視点で、ご自身の業務経歴をもう一度見直してください。試験官の手元には、あなたの経歴票と、この採点基準(コンピテンシー)しかありません。
直前チェックのポイント
- 専門的学識: 願書に書いた専門用語を、専門外の人(他部門の技術士)にもわかるように平易な言葉で説明できますか?
- 問題解決: 「なぜその工法を選んだのか?」「なぜその数値目標にしたのか?」というプロセスを、複合的な視点から論理的に語れますか?
- マネジメント: 納期やコスト、品質のトレードオフが発生した際、どのように資源(人・モノ・カネ・時間)を配分して解決しましたか?
- リーダーシップ: 利害関係者との対立をどう調整し、プロジェクトを前に進めましたか?
- 評価: 業務の結果をどう振り返り、次の業務や社会へどう還元しましたか?
- 技術者倫理: 公衆の安全、環境保全、公益確保をどう優先しましたか?(※ここは近年、特に厳しく問われます)
「声に出す」シミュレーションを繰り返す
頭の中で回答を組み立てるのと、実際に声に出して話すのとでは、全く勝手が違います。
- お風呂の中や通勤中の車の中などで、実際に声に出して回答してみてください。
- スマートフォンの録音機能を使って、自分の声を客観的に聞いてみてください。「えー」「あのー」といった口癖や、話の長さ(1回答1分~2分以内が目安)を確認できます。
2. マインド面:「受験生」ではなく「同業者」として振る舞う
口頭試験で最も重要なのはマインドセットです。
不合格になるパターンの多くは、過度に萎縮して「尋問される容疑者」のようになってしまうか、逆に知識をひけらかして「試験官と議論」してしまうケースです。
口頭試験は、「将来の同僚(プロの技術士)として迎え入れて良いか」を確認する面接です。試験官は敵ではありません。「あなたを合格させたい」と思って待っています。
「会話」を楽しむ余裕を持つ
試験官との「技術的な対話(キャッチボール)」を楽しむ意識を持ちましょう。一方的な演説や、沈黙は避け、コミュニケーション能力を示すことが大切です。
具体的には、以下の3点を意識してください。
- 結論ファーストで話す エンジニア同士の会話です。長々とした前置きは不要です。「はい、その点については〇〇と考えます。理由は~」と、質問に対して結論から短く答えてください。
- 分からないことは素直に認める 想定外の質問が来ても焦る必要はありません。知ったかぶりをして適当な嘘をつくのが、技術者として最も倫理に反する行為です。「申し訳ありません。その点については現時点では勉強不足ですが、技術士として〇〇の視点で調査し、適切に対応します」と答えれば、それは「誠実さ(倫理)」の評価につながります。
- 「技術士ならどうするか」で答える 迷ったときは、「一人の会社員」としてではなく、「国家資格を持つ技術士」としてどう判断すべきか?という視点に立ち返ってください。公益の確保を最優先にする姿勢が正解です。
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3. 体調・環境面:エンジニアとしての「リスク管理」
私たちエンジニアの基本は「安全第一」と「リスク管理」です。 試験当日、会場の椅子に座るまでが勝負です。万全の状態で挑むために、徹底したロジスティクス管理を行いましょう。
体調管理は最優先業務
どれほど良い準備をしても、当日熱があれば会場に入れませんし、頭も回りません。 この1週間は、以下のことを徹底し、防衛運転を心がけてください。
- 生ものを控える: 食あたりリスクを極限まで減らします。
- 人混み回避: 外出時はマスクを着用し、感染症リスクを避けます。
- 睡眠時間の確保: 脳のパフォーマンスを最大化するため、夜更かしはやめましょう。
当日のシミュレーション(工程表)を作る
冬場の試験は、雪や事故による交通機関の遅延リスクがつきものです。「ギリギリ到着」は精神的な余裕を奪い、パニックの原因になります。
前日までの準備リスト
- ルート確認: 会場までの交通手段と所要時間(できれば複数ルート)を確認しましたか?
- 早めの到着計画: 「1時間前」には現地最寄りのカフェに入れるスケジュールを組んでいますか? 遅延があっても間に合うバッファを持たせましょう。
- 持ち物チェック: 受験票、筆記用具、時計、身分証明書。そして技術士法や倫理綱領をまとめたメモ。
- 身だしなみ: 靴は磨かれていますか?シャツにシワはありませんか?
技術士は「信用」を重んじる資格です。身だしなみ一つで、第一印象(=信用)は大きく変わります。鏡の前で、胸を張って話す練習をしておきましょう。
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最後に:あなたは一人ではありません
ここまで積み上げてきた実務経験と、仕事の合間を縫って費やしてきた勉強時間は、決してあなたを裏切りません。
試験官は、あなたが技術士になるための「最後の1ピース(適格性)」を確認しようとしています。 当日は、大きく深呼吸をして、あなたがこれまで現場で培ってきた「技術者としての誇り」を胸に、試験官との対話を楽しんできてください。
良い報告が聞けることを、心より願っております。
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