生成AIに問題文を読ませて答案の叩き台を作らせれば、論文対策の時間を大幅に短縮できる。そう考えて実際に試してみた方も多いのではないでしょうか。
しかし、AIが書いた答案をそのまま整えて提出しても、評価はB止まりになりやすいという声をよく聞きます。これは、AIの性能が足りないからではありません。任せてよい部分と、自分にしか書けない部分を取り違えていることが原因です。
この記事では、技術士二次試験の論文でAIの答案がB評価に止まりやすい構造を整理し、AI時代の学習でどこを任せ、どこを任せないべきかを具体的に示します。
なぜAIの論文は「B評価」で止まるのか
技術士第二次試験の論文で評価されるのは、知識の正確さだけではありません。専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーションといった資質能力(コンピテンシー)を、受験者自身の実務の文脈でどう発揮したかが問われます。
生成AIは、一般的な知識や標準的な論理構成をまとめることには長けています。ただし、AIはあなたの実務を経験していません。「なぜその設計を選んだのか」「どの選択肢を捨て、何を根拠に判断したのか」という、実務に固有の判断は、AIが持っている一般知識の中には存在しないのです。
結果として、AIが書く答案は、教科書的には正しいが、誰が書いても同じような一般論になりがちです。これが、知識面では大きな穴がないのに評価がB止まりになる理由です。
AI時代の学習は「任せる部分」と「任せない部分」を分ける
PMEの視点:AIは調査係、あなたは判断者
AI時代の技術士学習で効果を出している人に共通しているのは、AIを「答案を書かせる相手」ではなく「調査と整理を代行させる相手」として使っているという点です。
キーワードの意味を調べる、過去の出題傾向を整理する、白書や政策動向を要約する。こうした作業は、AIに任せることで大幅に時間を短縮できます。一方で、その知識を自分の実務のどの場面と結びつけるか、という判断は、AIに代わってもらうことができません。
この線引きを最初に持っておくかどうかで、AI活用の成果が大きく変わります。
具体的な使い分け方(3パターン)
① キーワード学習・過去問整理はAIに任せる
技術動向やキーワードの一般的な意味を調べる作業は、AIが最も力を発揮する領域です。GX、DX、カーボンニュートラルといった時事的なキーワードの背景を短時間で整理させたり、過去問を年度・分野別に分類させたりする用途では、時間短縮の効果が大きく出ます。
ここで作った知識を、自分の実務経験とどう結びつけるかについては、キーワード学習法|実務経験と噛み合わせて「生きた知識」にする秘訣で詳しく解説しています。
② 骨子・構成案はAIと壁打ちしつつ、最終判断は自分でする
設問に対する構成の組み立て方を、AIに複数パターン出させて比較する使い方は有効です。自分では思いつかなかった観点の抜け漏れに気づけることがあります。
ただし、どの構成を採用するかの最終判断は、自分の実務経験と照らし合わせて行ってください。AIが提示した構成が、たまたま自分の経験では語れない内容だった場合、そのまま採用すると後の工程で書けなくなります。
③ 実務経験に基づく判断の根拠は、AIに書かせない
ここが最も重要な線引きです。「なぜその判断をしたのか」という根拠の部分だけは、必ず自分の言葉で書いてください。
AIに「〇〇という状況で、なぜこの解決策を選んだか説明してください」と入力しても、AIはその場面を経験していないため、もっともらしい一般論を返すことしかできません。試験官はこの部分を最も注意深く読みます。具体性のない理由づけは、コミュニケーションや問題解決のコンピテンシーが低いと判断される最大の要因です。
PMEでは、AIで作った下書きを土台にした論文添削にも対応しています。どこが一般論で止まっていて、どこを自分の経験で埋めるべきかを、第三者の目で具体的に指摘できます。他社の講座を受講中の方のセカンドオピニオンとしてのご利用も歓迎しています。
ここで差がつく:AIの言葉遣いは面接官に伝わる
AIが生成した文章をほぼそのまま答案や業務経歴票に使うのは避けてください。生成AIの文章には、独特の言い回しや構成の癖があり、慣れた読み手には見分けがつくことがあります。口頭試験では、書いた本人がその場で説明を求められます。自分の言葉になっていない文章は、口頭試験で必ずボロが出ます。
また、AIの回答を検証せずに事実として書いてしまうのも危険です。制度や統計に関する記述をAIに生成させた場合、内容が古かったり不正確だったりすることがあります。技術士試験に関する事実は、必ず日本技術士会などの一次情報で確認してから使ってください。
まとめ
AI時代の技術士学習における使い分けを整理します。
- AIの答案がB評価で止まるのは、実務の文脈での判断をAIが生成できないため——知識不足が原因ではない
- 調査・整理はAIに任せ、時間を大きく短縮する——キーワード学習や過去問分類が代表例
- 判断の根拠だけは自分の言葉で書く——ここがA評価とB評価の分かれ目になる
まずは今日書いた答案の中から、AIが書いた部分とそうでない部分を見分けられるか、自分で読み返してみてください。
生成AIと専門家の指導の違いについては生成AIでは対応しきれない領域、AIによる独学の可能性については技術士試験はAIで独学可能?でも掘り下げています。
一人で抱え込まず、第三者の視点を
自分の答案のどこが一般論で止まっているかは、自分で読み返しただけでは気づきにくいものです。PMEでは単発1回からのご利用が可能です。まずは30分の無料オリエンテーションで、今の学習状況をお聞かせください。

