「継続研さんはどのようにしていますか」。口頭試験の準備で、この質問への答えを後回しにしていないでしょうか。
業務経歴やマネジメントの話に比べると、継続研さんは答えやすそうに見えます。受けた研修や取った資格を挙げればよい、と考える方も多いはずです。ところが実際に声に出して答えてみると、研修名を3つ並べたところで言葉が止まってしまうことがあります。
原因の多くは、学んだ量が足りないことではありません。学んだことと業務とのつながりを、言葉にしていないことです。この記事では、継続研さんがどのような位置づけの評価項目なのかを確認したうえで、学びを業務への還元まで含めて語るための準備を整理します。
継続研さんは「独立した評価項目」である
最初に、継続研さんの位置づけを一次情報で確認しておきます。
文部科学省の令和8年度技術士試験合否決定基準では、総合技術監理部門以外の口頭試験は4項目で評価されます。そのうち「技術士としての取組姿勢」の区分に、技術者倫理と並んで継続研さんが置かれています。そして継続研さんにも、単独で「60%以上の得点」という基準があります。
つまり、業務の話でどれほど高く評価されても、継続研さんの基準に届かなければ合格にはなりません。業務経歴の準備に時間を使い、継続研さんは当日その場で答えればよいという考え方は危険です。4項目の全体像は技術士口頭試験の評価項目|4項目で何が問われ、どこで落ちるのかで整理しています。
背景には技術士法があります。第47条の2は、技術士に「資質の向上を図るよう努めなければならない」という責務を課しています。日本技術士会も、技術士のCPD(継続研さん)として年平均50単位時間の実施が望まれるとしています。継続研さんは、合格後も続く技術士の責務そのものです。面接官は、その責務を果たせる人かどうかを確かめていると考えてください。
※基準の原文は文部科学省の令和8年度技術士試験合否決定基準、CPDの説明は日本技術士会の技術士CPD Q&Aで確認できます。
なぜ「研修の羅列」では弱いのか
研修や資格を挙げること自体は間違いではありません。問題は、そこで話が終わってしまうことです。
羅列から伝わるのは「受けた事実」だけ
「〇〇の研修を受けました」「△△の資格を取りました」という答えから伝わるのは、学びの機会があったという事実だけです。なぜその研修を選んだのか、学んだことで何が変わったのかは伝わりません。
会社から指示された研修を受けただけでも、同じ答え方はできてしまいます。だからこそ面接官は、羅列のあとに「それは業務にどう生きていますか」と重ねて聞きたくなります。研修名ではなく、学びが業務に戻った場面を語れるかどうかが分かれ目です。
PMEの視点:継続研さんは「因果」で語る
ここからは、PMEが口頭試験の指導の中で整理している考え方です。継続研さんの答えは、次の3つがつながっていると伝わりやすくなります。
- きっかけ:業務の中で何が足りないと感じたのか
- 学び:そのために何を、どのように学んだのか
- 還元:学んだことで、業務の判断や手順がどう変わったのか
たとえば「設計審査で指摘が続いた領域があり、その分野の規格を読み直した。その結果、審査前のチェック項目を自分で見直した」という流れです。研修の数は1つでも、この因果がつながっていれば、継続して学ぶ姿勢が具体的に伝わります。
継続研さんを語れる形に整える3ステップ
考え方が分かったら、実際に答えを準備します。合格発表を待つ今の時期でも、合否に関係なく進められる作業です。
ステップ1:直近数年の学びを棚卸しする
まず、直近数年の学びを一覧に書き出します。社外研修、社内勉強会、資格の勉強、技術書や規格の読み込み、学会や講習会への参加など、形式は問いません。それぞれに「なぜ学んだのか」というきっかけを一言添えてください。
書き出してみると、会社の指示で受けたものと、自分で必要を感じて学んだものが混ざっているはずです。語りの中心に置くのは、自分で必要を感じて学んだものです。
ステップ2:業務に還元された場面を探す
次に、一覧の学びのうち、業務の判断や手順が変わった場面を探します。業務経歴票に書いた業務の中から見つかれば、なお良い材料になります。経歴の話と継続研さんの話が、1本の線でつながるからです。
還元の場面が見つからない学びは、無理に語りの中心に置かなくて構いません。「学んだが、まだ業務には生かせていない」と正直に整理しておく方が、深掘りされたときに崩れません。
ステップ3:「これから学ぶこと」を理由とともに決める
最後に、これから何を学ぶつもりかを決めます。継続研さんは「続ける」姿勢を問う項目なので、過去の実績だけで終わると話が閉じてしまいます。
今の業務で足りないと感じている領域、担当分野で変化が起きている技術などから1つ選び、なぜそれを学ぶ必要があるのかを言えるようにしてください。過去の学びと、これからの学びが同じ問題意識でつながっていると、話に一貫性が出ます。
準備した答えが面接官にどう聞こえるかは、自分ではなかなか判断できません。PMEでは、口頭試験向けの模擬面接で、継続研さんを含む4項目それぞれの答え方を確認しています。確認するのは、技術士(CPD認定)でもあるPMEの代表です。他社の講座を受講中の方のセカンドオピニオンとしてのご利用も歓迎しています。
継続研さんで陥りやすい失敗
準備の方向が合っていても、答え方で損をすることがあります。特に次の3つに注意してください。
- 資格や研修の数を競うように並べる——量の多さより、1つの学びが業務に戻った因果の方が伝わります
- 用意した文章を一字一句暗記する——「具体的には?」と深掘りされた瞬間に詰まります。覚えるのは文章ではなく、きっかけ・学び・還元の3点です
- 「忙しくて特に何もしていません」と答える——業務の中で調べ直したことや、後輩に教えるために整理したことも学びです。日々の業務を振り返れば、材料はたいてい見つかります
想定質問を暗記に頼らず準備する考え方は、“回答丸暗記”は不合格の元でも解説しています。
まとめ
継続研さんの準備のポイントを整理します。
- 継続研さんには単独で60%以上の基準がある——業務の話で補えると考えず、独立して準備する
- 研修名ではなく、きっかけ・学び・還元の因果で語る——1つの学びでも、業務に戻った場面があれば伝わる
- これから学ぶことまで決めておく——過去と未来の学びを同じ問題意識でつなぐ
まずは今日、直近数年に学んだことを一覧に書き出し、それぞれに「なぜ学んだのか」を一言添えるところから始めてみてください。
一人で抱え込まず、第三者の視点を
継続研さんの答えは、自分では当たり前に感じている学びほど、うまく言葉にできないことがあります。PMEでは単発1回からのご利用が可能です。まずは30分の無料オリエンテーションで、今のお悩みをお聞かせください。

