はじめに:令和8年度からの試験はどう変わるのか?
いよいよ令和8年度(2026年度)の技術士第二次試験から、新しく改訂された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」が適用されます。すでに文部科学省の資料等で目にした方も多いかもしれません。
今回の改訂を一言で表すなら、これまでの専門的な技術力に加え、「現代の複雑な社会課題に対応できる、技術者の総合力」がより明確に問われるようになったということです。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、多様性の尊重、そしてサステナビリティ(持続可能性)といった、今の時代において避けては通れないテーマが色濃く反映されています。
本記事では、現場経験25年以上の現役エンジニアであるPMEの視点から、コンピテンシーの何がどう変わったのか、そしてそれを業務経歴票や筆記試験、口頭試験にどう「本質的に」落とし込むべきかを分かりやすく解説します。
1. 評価される8つのコンピテンシー(項目自体に変更はなし)
まず前提として、評価対象となる8つの項目自体は、これまでと変わりありません。
- 専門的学識
- 問題解決
- マネジメント
- 評価
- コミュニケーション
- リーダーシップ
- 技術者倫理
- 継続研さん
しかし、各項目における「定義(求められる行動特性)」の中に、現代の社会背景を反映した重要なキーワードが追加されています。名称が変わっていないからといって「今まで通りの対策で良い」と考えるのは非常に危険です。採点官が評価する「基準の解像度」が上がったと捉えるべきでしょう。
2. 合格の鍵を握る「4つの大きな変更点」と実務での落とし込み
特に大きく変わったのは「問題解決」「コミュニケーション」「技術者倫理」「継続研さん」の4項目です。試験対策上、絶対に押さえておくべきポイントと、実務での解釈をまとめました。
変更点①:問題解決(データ・IT活用と多角的視点)
- 追加要素:データ・情報技術の活用、ステークホルダーの意見、多角的な視点
- 評価されるポイント:経験や勘に頼るだけでなく、データやIT(AI、IoT、シミュレーションなど)を用いて客観的・論理的に分析できているか。
これまでの技術士試験でも論理的な問題解決は求められていましたが、新コンピテンシーでは「情報技術の活用」が明記されました。
実務においては、「過去の類似事例からこう推測した」だけでなく、「蓄積された稼働データを分析し、ボトルネックを可視化した上で対策を立案した」といった、ファクトベースの客観性がより強く求められます。
変更点②:コミュニケーション(「説得」から「多様な意見の包含と合意形成」へ)
- 追加要素:情報技術の活用、包摂的(インクルーシブ)、協働
- 評価されるポイント:単に専門知識を説明して相手を「説得」するのではなく、非専門家や少数派を含めた多様なステークホルダーの意見を多角的に取り入れ、合意形成を図る姿勢。
【💡ここが最重要ポイント】
これまでのコミュニケーションの定義は「明確かつ効果的な意思疎通」でしたが、改訂後は「明確かつ包摂的(インクルーシブ)」に変更されました。 これからの技術士に求められるのは、専門家同士の阿吽の呼吸や、正論による相手の論破(説得)ではありません。プロジェクトに関わる「知識レベルの異なる非専門家(営業、経営層、あるいは地域住民など)」や「見落とされがちな少数派」の意見までをも置き去りにせず、多様なステークホルダーの視点を多角的にドキュメントやITツールを駆使して包含(インクルーシブ)し、全員が納得できる「合意形成」を図るプロセスそのものが厳しく評価されます。
変更点③:技術者倫理(サステナビリティと経済への影響)
- 追加要素:経済への影響、持続可能な成果の達成(サステナビリティ)
- 評価されるポイント:安全や環境への配慮に加え、経済性や将来を見据えた持続可能な判断ができるか。
従来の技術者倫理といえば「公衆の安全、健康及び福利を最優先する」という命題が中心でしたが、今回は「持続可能(サステナブル)」や「経済」といったキーワードが追加されました。
どんなに安全で環境に優しい技術でも、コストが非現実的で事業として継続できなければ、社会実装は進みません。「安全・環境・経済性」のバランスをとり、長期的に社会へ貢献できる設計思想が求められています。
変更点④:継続研さん(激変する技術環境への適応)
- 追加要素:絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力
- 評価されるポイント:DXなど激変する技術環境の中で、常に学び、新しい技術に柔軟に適応しようとしているか。
「専門書を読んでいます」「学会に参加しています」という従来の記述に加え、「AI技術の進化に伴い、自身の担当領域においてどのようにリスキリングを行っているか」といった、環境変化に対する適応力が問われることになります。
3. 業務経歴票・筆記試験・口頭試験への具体的な影響
このコンピテンシー改訂は、業務経歴票(720文字詳細)や筆記試験(論文)、そして口頭試験のすべてに直結します。
キーワードを意識した記述を心がける
論文や業務詳細を書く際、「ステークホルダーとの合意形成(協働)」「データ活用による分析」「持続可能性への配慮」といった新コンピテンシーのキーワードを意識して盛り込むことで、採点官の評価軸にピタリと合った解答になります。
過去の業務の「棚卸し」を新たな視点で見直す
これから受験準備を始める方は、過去の業務経歴の棚卸しを以下の視点でやり直してみてください。
- 「あのプロジェクトで、ITやデータをどう活用して課題を特定したか?」
- 「利害が対立した際、どのように相手の意見を包摂(インクルーシブ)し、協働へと導いたか?」
この視点を持つだけで、何気ない日常業務が「技術士にふさわしい実績」へと昇華されます。
4. 大手予備校とは違う、PMEの「本質を捉える」試験対策
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
それは、「新しいキーワードを、ただ論文や経歴票に散りばめれば合格するわけではない」ということです。
一般的な予備校やマニュアル本では、「このキーワードを必ず入れましょう」という指導が行われがちです。しかし、本質的な理解を伴わないキーワードの羅列は、現場を知り尽くした試験官(現役の技術士)にはすぐに見透かされます。「協働しました」「インクルーシブに対応しました」と書いてあっても、具体策が伴っていなければ点数には結びつきません。
PMEが提供する「壁打ち」と「本質的な添削」
PMEでは、機械設計やマネジメントの現場で25年以上の経験を持つ現役エンジニアが、あなたの実務経験を深く掘り下げます。
- 「その協働プロセスで、具体的にどんなデータを見せたから相手は納得したのですか?」
- 「その解決策は、5年後のランニングコスト(経済性と持続可能性)を考慮できていますか?」
このような、実務のリアルな視点からの「壁打ち(模擬面接)」や「論文添削」を行うことで、取ってつけたようなキーワードではなく、あなたの血肉となった経験としてコンピテンシーを表現できるようになります。これが、単なる添削にとどまらない、PMEならではの「セカンドオピニオン」としての強みです。
5. まとめ:新時代に求められる技術者へ
令和8年度からの新コンピテンシーは、単なる試験ルールの変更ではありません。「これからの激動の時代において、社会から求められる技術者像」そのものを表しています。
新しいキーワードをしっかり読み解き、小手先のテクニックではなく、ご自身の日々の実務と深く結びつけておくことが合格への最短ルートです。
「自分の業務経歴で、新コンピテンシーをどう表現すればいいか分からない」
「今の論文の方向性で、令和8年度の基準に通用するか不安だ」
そう感じた方は、ぜひ一度PMEの論文添削・模擬面接サービスをご検討ください。単発でのご依頼も大歓迎です。あなただけの経験を、技術士にふさわしい「合格答案」へと磨き上げるサポートをいたします。

