「筆記に受かったけど、口頭は未知の世界…」
筆記試験を突破して、いよいよ迎える技術士試験の最終関門「口頭試験」。
多くの受験者がこの段階で感じるのが、「何を聞かれるの?」「どんな基準で評価されるの?」という不安です。
実は、口頭試験は“知識を問う試験”ではなく、「技術者としての考え方」や「責任感・伝える力」が重視される場。
筆記試験とはまったく異なる評価軸が存在します。
では、面接官は一体どんな点を見ているのでしょうか?
この記事では、評価の本質と準備のポイントをわかりやすく解説します。
口頭試験の目的は「コンピテンシーの確認」
口頭試験で評価されるのは、技術士に必要な資質能力(コンピテンシー)です。
これは、単なる知識や経験の量ではなく、技術者としての姿勢・判断・伝え方を含む「行動特性」を確認するものです。
技術士法では、技術士は「公共の安全・福祉のために専門的な判断を行う者」と定義されています。
したがって面接官は、次のような視点で受験者を見ています。
| 見られるポイント | 意味・評価される行動 |
|---|---|
| 専門的学識 | 自分の専門を根拠をもって説明できるか |
| 問題解決能力 | 現場の課題を自らの知識と経験でどう解決したか |
| マネジメント能力 | チームや工程をどうまとめたか、リスクをどう管理したか |
| 評価能力 | 技術的成果をどのように分析し、改善へつなげたか |
| コミュニケーション | 技術をわかりやすく説明できるか、相手の立場を考慮できるか |
| リーダーシップ | 関係者を巻き込み、方向性を示せているか |
| 技術者倫理 | 公益・安全・法令を意識した判断ができているか |
| 継続研さん | 新しい知識を学び、技術力を高め続けているか |
つまり、口頭試験の本質は「あなたという技術者を確認する試験」なのです。
面接官が注目する3つのポイント
PMEの模擬面接を通じて多くの受験者を見てきた経験から、
実際に面接官が特に重視している点は次の3つです。
① 「自分の言葉」で語れているか
書類やマニュアルをなぞった説明ではなく、自分の経験を自分の言葉で説明できるかが最大の評価ポイントです。
面接官は、あなたが本当に理解しているかどうかを会話の流れから見抜きます。
たとえば、
「なぜその設計方法を選んだのですか?」
という質問に対して、
「以前のトラブルを踏まえ、耐久性と保守性を優先しました。」
と答えられるかどうかで、現場経験の深さが伝わります。
② 「責任ある判断」をしているか
技術士は国家資格者として、成果だけでなく判断の結果に対して責任を持つ立場です。
「指示されたからやった」ではなく、
「リスクを踏まえてこの方針を選びました」
という“自律的判断”ができるかどうかを面接官は見ています。
③ 「相手に伝わる説明」ができるか
技術的に正しくても、伝え方が難解では評価されません。
口頭試験では、“相手(非専門家)に伝える力”も大切です。
- 専門用語をかみ砕く
- 図や比喩を交えて説明する
- 結論→理由→補足の順で話す
こうしたスキルは、技術士として実務でも求められる重要な力です。
よくある誤解:「知識が足りないと落ちる」
初受験者に多い誤解が、「知識不足だと不合格になるのでは?」という不安。
実際のところ、知識を問う質問は補足的な確認にすぎません。
面接官が知りたいのは、
「自分の知識をどう現場で活かしているか」
「知らないことに直面したとき、どう対応するか」
という“姿勢とプロセス”です。
そのため、知識問題で詰まっても焦る必要はありません。
素直に「現場では○○のように考えています」「今後さらに確認したいです」と
誠実に対応する方が、信頼されるケースが多いです。
準備の第一歩は「再現論文と自己分析」
口頭試験の出発点は、筆記試験と業務経歴の振り返りです。
- 筆記試験でどんなテーマ・解答を書いたか
- どんな業務経験を中心に話すか
- その経験から何を学んだか
これを整理した「再現論文」と「自己分析メモ」があるだけで、
想定質問への答え方が明確になります。
PMEでは、再現論文をもとに想定質問リストの作成支援も行っています。
自分一人では気づけない“抜け”や“弱点”を見つけることで、
面接本番での受け答えに自信を持てるようになります。
PMEの模擬面接で「実戦感覚」を身につける
PMEの模擬面接は、実際の試験形式に沿って行われます。
- Microsoft Teamsで全国対応
- 1回完結型の単発受講が可能
- 技術士の試験官経験者による質問・フィードバック
質問はすべてコンピテンシーの8項目を踏まえて構成され、
受験者の回答に合わせてその場で掘り下げられます。
この“やり取りの臨場感”が、最大の学びになります。
まとめ|面接官は「完璧さ」ではなく「姿勢」を見ている
- 技術士口頭試験は「知識テスト」ではなく「人となりの確認」
- 面接官が見ているのは「責任感」「説明力」「技術者としての考え方」
- 再現論文と自己分析を早めに進め、合格発表後に備える
緊張して当然です。
大切なのは、自分の経験を自分の言葉で語ること。
その準備を進めておけば、本番でも落ち着いて自分を表現できます。
あなたの経験こそ、最高の合格答案です。

