模擬面接を受ける前に抱えていた不安
筆記試験を突破し、「次は口頭試験だ」と思ったとき、最初に感じたのは達成感よりも強い不安でした。
答案は何度も書き直し、自分なりに整理してきたつもりでしたが、頭の中では常に疑問が浮かびました。
- この答え方で本当に試験官に伝わるのだろうか?
- 想定外の質問が来たときに対応できるのだろうか?
- 本番で緊張して頭が真っ白になったらどうしよう?
こうした不安は、独学で準備している限り解消できませんでした。特に口頭試験は、筆記と違って「その場で答える」試験形式です。雰囲気もわからず、練習もできないまま臨むのは、ぶっつけ本番のスピーチをするようなものです。
そこで思い切って模擬面接を申し込みました。結果的に、この一歩が自分の弱点を明確にし、克服につながる大きな転機となったのです。
模擬面接で指摘された自分の弱点
模擬面接では、想像以上に「自分の癖」が露呈しました。準備していたつもりの答えが意外な形で崩れ、本番さながらの緊張の中で、自分の課題が浮き彫りになったのです。
結論が後回しになる
一つ目の指摘は「話の結論が最後まで出てこない」という点でした。私は説明を丁寧にしようと意識するあまり、前置きが長くなりすぎて、肝心の結論を最後まで述べない傾向がありました。
試験官の立場では「結局何を言いたいのか?」が分からない状態になってしまい、印象が悪くなるとのことでした。
実務経験の説明が抽象的すぎる
二つ目は、業務経験の説明が「概要止まり」になっていたことです。自分としては詳細を述べているつもりでも、実際は「課題は何だったのか」「どんな判断をしてどう解決したのか」「その結果どうなったのか」が十分に語れていませんでした。
そのため、せっかくの経験が評価につながらない危険があると指摘を受けました。
コンピテンシーが伝わらない
三つ目の弱点は「コンピテンシーの不足」でした。
技術士に求められる8つの資質能力(専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、倫理、継続研鑽)について問われても、私はその場で適切な事例を出せず、表面的な答えに終始してしまいました。
「知っている」と「自分の経験として語れる」は全く別物であることを痛感しました。
克服のために取り組んだこと
模擬面接で明らかになった課題を克服するために、私は次のような工夫をしました。
PREP法で話を組み立てる練習
最も効果があったのはPREP法(結論→理由→具体例→結論)を徹底することでした。
「まず結論を言う」ことを癖づけることで、聞き手に安心感を与え、話の軸がぶれなくなりました。練習の際には、自分の答えを録音して確認し、「結論が冒頭に出ているか」を毎回チェックしました。
実務経験を「課題・解決・効果」で整理
次に、業務経験を「課題→解決→効果」のフレームで整理しました。例えば、
- 課題:設備の老朽化に伴い、生産ラインのトラブルが頻発していた
- 解決:改善案を提案し、関係部署を巻き込んで計画的に更新を実施
- 効果:稼働率が向上し、年間◯◯%の効率改善につながった
といった形で、エピソードを明確にストーリー化しました。これにより、具体性が増し、聞き手に納得感を与える説明ができるようになりました。
コンピテンシーごとのエピソードを準備
最後に、8つのコンピテンシーそれぞれに対応したエピソードを準備しました。
「倫理」では安全優先の判断をした経験、「リーダーシップ」ではプロジェクトの意思決定を担った経験、「継続研鑽」では新技術を学んで実務に反映させた経験…と、1分程度で説明できるストックを作りました。
こうすることで、どんな質問が来ても「自分の言葉で答えられる」自信が持てるようになりました。
模擬面接を受けて得られた効果
模擬面接を通じて得られた効果は大きく、短期間で以下の変化を実感しました。
- 本番をイメージできたことで緊張が大幅に軽減された
- 独学では気づけなかった弱点が客観的に明確になった
- 改善点が具体的に分かり、短期間でも成果が出た
- 答え方の型を身につけ、自信を持って答えられるようになった
特に大きかったのは、「一人で準備していたら絶対に気づけなかった課題」に気づけたことです。
「結論が見えにくい」「事例が抽象的」というのは、独学だと自分では気づきにくい盲点です。指摘を受けて初めて改善できました。
また、録画を見返すことで自分の話し方の癖や表情、間の取り方まで把握できたのも大きな収穫でした。面接は内容だけでなく「印象」で評価が分かれる部分もあるため、姿勢やアイコンタクトといった非言語の要素を改善できたのは非常に有効でした。
まとめ|模擬面接は単発でも効果あり
模擬面接を受けたことで、私は自分の課題を客観的に知り、具体的な改善策を得ることができました。
特に、本番直前の1回だけでも十分な効果があります。
「本当に聞かれる質問」を体験し、自分の癖を知ることで、安心して本番に臨めるようになります。
PMEの模擬面接は、実際の試験に近い環境で行われ、録画やフィードバックも付くため、短時間で弱点を克服することが可能です。忙しい社会人でも単発で利用できるので、直前対策として非常に有効です。